Slowly Quickly 羊毛という素材を使ったハンドクラフトのウェブサイト Slowly Quickly。羊毛のある心地よい暮らしの中に、ものづくりから生まれるあたらしい表現のカタチやスパイスを発見し、提案していきます。フェルト化させたり編んでみたり、ひとつひとつ丁寧に手間と時間をかけてつくる色とりどりの羊毛のアイテムを、手で触れて、肌で感じて。

コースター | ピスタチオ × フラミンゴと、宇野千代 『生きて行く私』

 

それぞれのけもの道

 

大きなエネルギーを使うようなことをやった時に

「夢を叶えたんですね」

と言われることがたまにある。

 

なにかちょっと人とは違うことだったり

チャレンジングなことだったり

そういうことに向けられる「夢」という言葉の使い方。

それに対していつもなんだか

ムズムズとした居心地の悪さを感じてしまう自分がいる。

 

だから申し訳ないなぁ、と思いながらも

「いやあの、夢じゃなくて、計画を実行しただけのことなんです」というと

相手のリアクションはだいたい「へっ?」て感じになってしまう。

 

うーん

うまく言えないけど

自分の中では夢とはちょっと違うんだな。

些細なことだって大胆なことだって

やりたいと思ったことをやる

いつでもただ、それだけのことなのだ。

それだけのことなんだよな。

 

そんなことをつらつら歩きながら考えていると

本棚にある宇野千代さんの『生きて行く私』が

ドラマや漫画の吹き出しのように

ほわんほわんほわわわ〜んと

頭の中に浮かんだのだ。

 

どれどれ、と久々に手に取り

開いた文庫版に寄せたあとがきにはこう書いてあった。

 

『そのとき、そのとき、私は自分の気持ちに正直に行動してきた。

 人がどう思うか、とか、世間がなんというかなどということは

 これっぽっちも私の頭には浮かばなかったのである。

 ただそれだけのことであるのに、

 私がなにか特別なことをしてきたかのようにいう人が少なくないとは、

 なんと面白いことではないか。』

 

そうか。

「夢」って言葉は何か特別感があるけれど

特別なことをしてる意識なんていつだってないもんな。

そうか、そういうことか。

どうやら

ムズムズの謎が解けたみたいだ。

 

この本のタイトルが

「いく」ではなく「行く」となっているところにも

情熱的で行動的な宇野千代さんがよく現れている気がする。

 

まったくもって

生きるとは行動だ。

 

やりたいことをやりたいときにやる。

たとえばそれがけもの道のようなものでも。

 

 

 

著者 / 宇野千代『生きて行く私』角川書店、2013年

 

 

    
  
   

コースター | ピスタチオ × フラミンゴ

 

おうち時間が楽しくなるコースター(4枚セット) です。

 

ピスタチオのような黄緑色と、スモーキーなピンク色を掛け合わせました。
縮絨の際にそれぞれの色が混ざり合い、毎回異なる1点ものの風合いに仕上がります。

※縮絨とは、羊毛表皮にある鱗状のスケールといわれる部分が湿度や摩擦などによって絡み合いフェルト化することです。

 

 

 

 

 

アイテムについて詳しくはこちら

コースター | ピスタチオ × フラミンゴ

 

 

 

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